白と黒の格好が鮮やかなフロアーに、テーブル代わりにドラム缶が置いてある。スポットライトをつけると懐かしい熱狂と興奮がよみがえってくる。
そこは下北沢か、吉祥寺か。
正に異空間、よもや誰もここが東金だとは思わないだろう。
店の名はSWING。オーナーは同じ名前の美容室を営む石森敦さん(40)。
10代の頃からバンドに目覚め、以来ずっとロックンロール。「仕事もあったし、遠くてなかなかライブに行けなかったんで、自分で作っちゃえ」と3年前にライブハウスを一人で造ってしまった。
テーマは1950年代のアメリカ場末のライブハウス。昔、NYで連れて行かれた店に入ったときの衝撃が忘れられなくて。もちろん、そんなのは空想の世界だけど、夢や憧れはいくつになっても持っていたい。
防音を施した天井にはびっしりと卵の紙パックが貼り詰めてある。あの凸凹が集音効果抜群なのだとか。水道管を利用した手すりや、むき出しの壁板はワザとチープ感を演出したもので、オーナーのセンスとこだわりが覗える。
壁には数々のライブのポスターが所狭しと貼ってある。
そして、CREAM SODAのドクロフラッグが誇らしげに揚げてある。
もちろん床屋が本業、ライブハウスは副業。営業は不定期だ。建物の外観や周辺の雰囲気からか、近所人にはあまり知られてない。
それでもライブの日はいつも大盛況。女性客も多く、年齢層は実に幅広い。事前にチケットを買い求める人や、他県から泊りがけで来て、ばっちりロカビリー・ファッションで現れるファンも少なくない。
「いつも発信はフェイスブックとかで集客してしまうので、あまり地元に広がってないんだけと、この付近にも好きな方がいたら是非利用して欲しい。もちろん、別ジャンルでライブやパーティにも利用できます」と石森さん。
中高年の貴方も、革ジャン・リーゼントに憧れて原宿PEPPERMINTの長財布を自慢げに使ていた青春時代を思い出して、生バンドでオールディーズに浸ってみてはいかがだろか。
(文責:街波通信)
カットハウススウィング
東金市南上宿10-2
電話:0475-54-7774