今は大人になってしまった子どもなら、だれしも
「予算100円で遠足のお菓子を買える」行きつけのお店があったに違いない。
激安ジュース自動販売機が店先にあって、当たり付きのコーラガムやうまい棒、
キレイなスカイブルー色の甘いジュースがある。
東金市の八鶴湖湖畔にある布施商店は、お店に入ればなぜか懐かしい気持ちになれる、そんなお店だ。
中学1年生の夏休みはまだ高校受験の波に揉まれず、かといって部活の練習も最下級生ゆえの熱の冷め方で、遊ぶことが一番楽しい時期。そんな男子2人に1,000円を渡して駄菓子屋に放流してみる。 おばちゃんに両替してもらった500円を各自握りつつ、まずはジュースコーナーの前に。 「暑いし、まずは2リットルコーラ買しかないっしょ」 「あほじゃね?金なくなるし」 反抗期突入中の男子は口が悪い。 「あーライフガード、なつかしー。買う?」ライフガードとは、迷彩柄のパッケージがおなじみのオロナミンCのような味の炭酸飲料だ。13才の子どもが、懐かしいとは…昨日あったことも、きっと毎日「懐かしい」になっていくのだろう
ライフガードとは、迷彩柄のパッケージがおなじみのオロナミンCのような味の炭酸飲料だ。13才の子どもが、懐かしいとは…昨日あったことも、きっと毎日「懐かしい」になっていくのだろう。
「おれ、缶詰買おうかなぁ」
「やきとり缶ある?」
「…これ…ん?」
初めてコンビーフ缶を見たらしい。
書くのを忘れたが、布施商店は食品も日用雑貨も売っているお店なのだ。
「お前、たまごボーロ買うの?そっちより大袋のほうが量多くて安いし?」
「いや、妹にお土産。ボーロ好き。小袋じゃないと」
20分ほどかかっただろうか、やっと買う物を決めて清算をする。 「あ、あと、レジ脇のイカも!」 おばちゃんが、ハシでイカを選んでくれる。 「…大きいのがいいよねぇ。これがいいかな」 ビニール袋に入れてもらう。イカのいい匂いがレジまわりに広がる。
イカ、と言えば酢イカに、
紋次郎イカ(木枯らし紋次郎がくわえていた長い楊枝を
串に見立てたことが名前の由来らしい)、
よっちゃんイカ、と答える彼らも、
あと数年もすれば「イカと言えば酒のつまみ」という歳になる。 夏休みイコールお盆休み、になってしまう大人になる前に、存分に「子どもの夏休み」を楽しんで欲しい、と心から思う。
布施商店
東金市東金1617
TEL:0475-54-7738