東金の大店(おおだな)には、お祝いの引き出物として木綿の反物を配るという粋な習慣があったそうです。これは出入りの業者にとっては、いわば通行手形。半纏に仕立てて得意気にお店に出入りできるというもの。
もともとは、鰯漁の発達と共に綿花の栽培や染め物技術が伝わり、上総もめんという産業がおこり、漁民芸術として房総半島に万祝(まいわい)という大漁半纏が華々しく広がったという背景があって、東金の豪商たちのあいだで流行したものなのでしょう。
一八〇五年に創業した多田屋グループ。英字を使った半纏は当時ではかなりモダンだったと思われます。ちなみにロゴマークデザインは、千葉県のロゴを手がけたことでも有名な仲條正義氏が作製したそうです。
巾が二つ並んだ漢字は「竹」。
竹の漢字は象形文字から作られたそうです。「屋」の漢字の下の「土」の部分が丸くなっているデザインが可愛らしく見えます。
東金銘菓で有名な湖月堂は明治三十一年創業。家康御手植え蜜柑に源流を持つ「ゆず羊羹」は明治の末に創製され、それから伝統の味を百年以上守っています。