『ゲルソン療法』は、ドイツ人医師のマックス・ゲルソン博士(1881-1951)が考案した食事療法です。メキシコにあるゲルソン・クリニックでは、免疫システムの自然な働きを促す栄養療法として、ゲルソン博士の娘であるシャルロッテ医師がガン患者の治療のために生の野菜や果物で作るジュースを使っています。このように欧米やメキシコには、ゲルソン療法によってガンを克服した人が何千人もいると言われています。
ゲルソン博士によれば、ガンの根本原因は、栄養の偏りによる全身の代謝の乱れであるといいます。代謝は、呼吸や食べ物の消化・吸収といった体のすべての活動で行われています。代謝が正常に行われるためには、酵素とその働きを助けるビタミンが欠かせません。そのため、ビタミンが不足すると、代謝障害に落ち入って免疫力が低下し、ガンが発症するのです。
ゲルソン療法では、代謝の乱れを正すために、生の野菜や果物で作るジュースを大量に飲み、ビタミンを十分に補います。併せて、ガンを引き起こす動物性たんぱく質や脂肪・塩分を摂らないといった厳しい節制を行います。患者は一日にニンジン・リンゴジュースを13杯も飲みます。しかも、他の食事は、黒パン、じゃがいも、生野菜だけ。更にガンを治すためには、こうした生活を最低でも2~3年は続けなければならないとしています。
山武市にある医聖会さんは、ゲルソン療法の国内での草分け的会社。多くのガン闘病中の方や術後の再発防止に取り組む方の食生活を支える医聖会のルーツは30年以上も前に遡ります。創設者である成毛さんは、鴨川で自然循環型農法を目指して1984年に農事組合法人「鴨川自然生態農場」を開設、自然放牧卵や無農薬野菜を自然食品店に出荷していました。そして1989年、今村光一氏(医事評論家1935-2003)が提唱した『マックス・ゲルソン博士のガン食事療法』を全国に普及するため組合から独立し、有限会社医聖会を設立しました。
医聖会では、宅配会員をガン患者に特定してはいません。病後の方や健康に関心のある方の入会を多く受け付けて、有機野菜とゲルソン療法に必要な食材(オーガニック食品全般・栄養補助食品)の宅配を行ってきました。ゲルソン療法の中心となる新鮮で美味しいニンジン・リンゴジュースを作るためには、第一に材料選びが大変重要です。医聖会のある旧山武町は以前から知る人ぞ知る日本の有機農法の先進地でした。生産者の高齢化等により鴨川市からの継続的な農産物の出荷が困難になり、無農薬の人参を必要とする会員の方々に大量に供給する必要があった医聖会は、山武市の農事組合法人「さんぶ野菜ネットワーク」と提携し、8年前に移転してきました。
ニンジン・リンゴジュースの作り方
1.ニンジン2本(約400グラム)とリンゴ一個(約250グラム)
2.皮や芯のついたまま、ジューサーに入れやすい大きさに切る。
3.ニンジン、リンゴを皮ごとジューサー(ミキサーではなく)にかけて、カスは捨てる。
4.コップ2.5杯分(約440㏄)のジュースができるのでよく噛むようにゆっくり飲む。
ゲルソン療法で必要なニンジン・リンゴジュースを作るのには新鮮な無農薬人参が必要ですが、もうひとつ大切なポイントがあります。それが、性能の良いジューサー選びです。一般のジューサーは高速で回転させるので高速回転刃による摩擦の影響でせっかくの栄養素が破壊され、果物の酸化が早く進行するといわれています。医聖会では、低速回転により、野菜や果物の持つパワー(ビタミン・酵素・ミネラル、フィトケミカル)を破壊せずにそのまま美味しく飲めるジュースを絞れるジューサーを見つけました。医聖会はこのジューサーを20年以上前に輸入し、創業からこれまでに2000台以上を販売してきました。
それが、現在では世界中のベジタリアンから愛用されている「チャンピオンジューサー」です。
《低速回転式ジューサー》
●チャンピオン・ジューサー
米国プラスタケット社製 医聖会直輸入品
寸法:46×25×20 cm 重量:10 kg
ゲルソン療法に欠かせないニンジン・リンゴジュースを搾るのに最適です。堅牢かつ単純な構造で故障が極めて少なく、毎日のお手入れも簡単です。
一般的な遠心分離方式のジューサーと違い、ビタミンや酵素が破壊されにくい搾汁方式。
リンゴを一緒に搾ることにより青菜ジュースも作ることができます。
一風変わった、でも人気のある農家さんがいるということでお話を聞いてきました。
JR土気駅から徒歩15分のところにあるご自宅を訪ねると、庭先で放し飼いの鶏と長男の優くんが明るく出迎えてくれました。
染谷農園がいまのようにイベントをしたり収穫体験を受け入れたりするようになったのは、ほんの数年前からなのだそうです。
それまでは、フツ-の農家さんでした。では、その数年前に染谷さんに一体何があったのでしょうか。
ご主人がテーブルとイスを出してくれたので、さっそくお話を伺うことに。
息子さんに発達障害があることが分かった時のこと。そうは言ってもいわゆるグレーゾーンだったので、途方に暮れながらも親としてできるあらゆる手立てを模索してきたこと。
ご主人は、ご自分たち家族の身に降りかかった出来事を丁寧にお話してくれました。
息子さんというのは、さっき玄関先で元気に出迎えてくれた優くんのことなのですが、一見しただけでは普通の子と何ら変わりありません。 優くんは、学校側と連携をとりつつ近所の小学校の普通級に入りました。
人と接するのが大好きな優くん。学校ではすぐにたくさんのお友達ができて楽しかったようでしたが、間もなくある特定の勉強がまったく理解できないということに気づき、苦しんで、精神的に不安定になります。
こうした障害は改善するのは困難であるといわれていますが、あるとき「食生活を改善することで発達障害を改善する」という話を耳にします。日々の食事から脳へ補給される栄養の不足は、集中力・記憶力を低下させ、神経過敏、無気力などの症状へ繫がります。
つまり誤った食生活は脳機能の発達の面でもマイナスであるというのです。
染谷さんは、さっそく何種類もの有機・無農薬野菜を取り寄せてみて、そして食べてみました。
そのとき、あまりに野菜が美味しくて思わず笑顔になってしまいました。それまで農薬や化学肥料を使った一般的な農法(慣行農法)を行っていた染谷さんは、自分でもこんな野菜を作って世間の子どもたちに食べさせてあげたい、と強く思いました。
染谷さんご夫妻はあらためて農業と向き合い、新しい「染谷農園」をはじめる決断をします。農薬を使わず畑を作るということは、それまでの納入先に仕入れて貰える野菜を収めることが出来なくなることを意味します。
新しい販路も自分たちで探さなければなりません。ご夫妻は新しい農法の試行錯誤のかたわら、慣れないパソコンを使ってブログやホームページを立ち上げ、発信をはじめます。
野菜に潜む農薬や化学肥料の害だけでなく、抗生物質を使った安い肉、加工食品に含まれる添加物の怖さを知って、自ら徹底的に食事を換えてみました。
すると何ヶ月かしていくうちに優くんの精神も安定し、自分たちの体調も良くなってきたことに気付きます。そうして一家全員の心も穏やかになってきたのです。
「食べ物は脳や身体を作るだけでなく、ココロもつくるんだ」
染谷さん家族は大発見をしました。そうして
「単においしい、安全な野菜をつくるだけでなく、みんなを笑顔にする野菜を作ろう」 と心に決めました。
それからは、自らイベントを企画し、収穫体験や農場見学を受け入れ、食育セミナーで体験談を語る日々。
息子の優くんに導かれて、わずか数年で家族みんなの生き方が180度変わりました。
わいわいと農業ボランティアを受け入れ、染谷農園はまさに「笑顔のさと」になったのです。
発達障害の改善に良いという栄養素を摂取するためにサプリを勧める専門家もいますが、安価な代わりに低品質な栄養補助食品では意味がありません。かといって高価なサプリでは長続きできません。
最近では、野菜のビタミンやミネラルをコップ一杯に凝縮した手作りの野菜ジュースが良いと注目されています。
染谷さんは、誇りと使命感をもって土に向き合います。お話が落ちついたところで、奥さんが絞ったばかりの人参ジュースを持ってきてくれました。ちょっぴり土臭くて濃い。そして、あまい!野菜の力強さを感じて唸りながら一杯を飲み干す。
染谷さんは、特に人参には強い思い入れとこだわりを持っていて、あちらこちらに視察に行っては研究をしているのだそうです。また、季節によって資材や手間を変えて周年で人参を栽培し、年中無休で人参を供給できる体制を整えようと日々頑張っています。
最後に実際に染谷さんの畑を案内して貰って別れました。広大な、そしてこれまで見たことのないニンジン畑が広がっていました。見るからに景色が違う。一見すると荒れ放題の畑の地中には、私たちを元気にしてくれるエネルギーに満ちた人参が収穫を待っています。まだまだ発展途上、まだまだ美味しくなっていくことでしょう。
染谷さんは、将来は、障害のある人たちにも働ける場を作って、よりたくさんの人たちの健康と笑顔を作ることができる農場にしていきたいと目を輝かせていました。 笑顔のさと 染谷農園 千葉市緑区高津戸町438-1